<小説・玉依姫>
また本のお話です。すみません。読書感想文ではありませんので・・・最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

初めにこの本を見た時アニメ「緋色のカケラ」を連想しました。あのアニメの原作本か?と思いましたが、作者もストーリーも全く違います。
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<民俗学>
本書でも物語中で解説されていましたが、日本各地で「玉依姫」の伝説が複数存在しているとのこと。伝承の多くは「玉依姫=神の母」という内容らしいのです。「緋色のカケラ」の玉依姫と本書の玉依姫は、別の伝承なのでしょうね。
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人文学という学問の区分の中に「民俗学」という分野があるそうです。地方に伝わる伝承や風俗・習慣を探り、その昔、そこで何があったのかを紐解く学問のようです。柳田国男氏の「遠野物語」が草分け的存在として有名ですね。
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私は普段、経済・法律系の仕事をしているので、こういう分野は全く疎いのですが、これまで読んだ小説で何度か「民俗学」に絡む物があったので、少し興味を持っています。
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地方に伝わる民話・伝承、その中には少しオカルトっぽいモノやSFっぽいモノもありますね。


<巫女の役割>
本書で「巫女」は山の神を鎮めるための生贄として扱われています。山の神の身の回りの世話をし、気に入られなければ喰われてしまう。
村人は何年かに1度、「巫女」を選び神前に供える。村の中で「巫女」を出す家は代々決まっていて、親は泣く泣く娘を・・・(神社に務める「巫女」の本来の役割は全く違うモノだと思います。)
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( ↑ 版権フリー画像をお借りしました。)

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・・・以下少し小説のネタバレがあります。

<巫女と神社と沼>
巫女と神の伝承では沼や池が絡んできます。緋色のカケラも沼がありましたね。 本書でも沼が重要な役割を果たしています。
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( ↑ 版権フリー画像をお借りしました。)
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山神に大変気に入られ神の母の役割を果たしていた先々々代の巫女が村人の誤解により「櫃」に閉じ込められ沼に沈められて殺されてしまいます。それを知らず巫女の帰りを待つ山神。山神は帰還しない巫女が自分を裏切り逃げたのだと誤解します。これがこの物語の悲劇の発端で、以後山神は心が荒廃して「荒神」へと変貌していきます。
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後任の歴代の巫女たちは「荒神」化した山神の魔物のような姿を恐れ「神の母」としての役割を満足に果たさず、逃げ出そうとして喰われてしまいます。
 
本書のヒロインはその数十年後に巫女として選ばれます。彼女はカラス天狗から事情を聴き、「荒神」に優しく接する事で山神を本来の神の姿へ戻す事に成功しつつありました。しかし偶発的に彼女の身にも先々々代と同じ悲劇が起こります。
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彼女は祖母の最期を看取る為、神域を離れて村へ一時帰省します。その姿を見た村人は「巫女の役目を放棄して逃げてきた」と誤解し、彼女を「櫃」に閉じ込めて沼に沈めてしまいます。幸い彼女はカラス天狗に間一髪で助け出されますが、事実を知った山神は怒り狂い、龍の姿に身を変えて雷で村を焼き払ってしまいます。
物語はまだ続き、最後はハッピーエンドなのですが・・・・気になる方は是非小説を手に取ってご確認ください。
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( ↑ 版権フリー画像をお借りしました。)

そう言えば、県内の或る沼でも、毎年「沼」に赤飯を入れた「櫃」を沈める儀式があるようです。まさか昔は女の子を沈めてた・・・なんて事は無いと思いますが・・・
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<azone製巫女衣装>
そんな玉依姫に想いを馳せて、今回は巫女衣装に身を包んだ「遥」を「沼」で撮影しました。
巫女衣装はazone製。某家電量販店通販サイトのポイントで安くGetしました。
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コノ衣装は「着崩れ」するので大変でした。崩れないよう、内部で何か所もセロテープ止め(笑)。
また、襟と袖の鮮やかな赤は・・・ボディーに色移りしますね。撮影時しか着せて置けません。
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(ピュアニーモMは着れないと書いてあります。マヤは着れない?萌葱ちゃんも無理なのかナ?)

でも、ご覧の通り屋外撮影では抜群の効果を示しました。「赤」と「純白」の衣装。自然界には無い色ですからね、沼や立木を背景に巫女衣装が非常に映えます。
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<結局何があったのか>
日本各地に伝わる玉依姫の伝説。沼や湖、そして竜に姿を変える神。少女が神の子を身ごもり、母となって神を育て、やがて神の妻となり、神と一体化して昇華するというお話。本書の内容=伝承ではありません。でも、類似した話が全国数カ所に伝わるようです・・・その昔に一体何があって、こんな伝承が生まれたのでしょうね。
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アニメ「君の名は」でも巫女や龍神、湖が登場します。竜神はホウキ星(隕石)で湖はクレーター、巫女の口咬み酒は黄昏時に時空を超えるキーの役割を果たしましたが、本書の玉依姫とは話の本質が違うようです。
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宇宙や科学のお話も夢があって好きですが、「民俗学」も面白そうですね。
実は「科学」も「伝承」も辿り着く先は1つの同じ事実を示していた・・・なんてロマンがあります。

仕事の第一線を退いたら、勉強してみるのも悪く無いですね。


ちなみに、リスクを冒して「遥」のお顔に手を加えたのは、この「玉依姫」の写真を撮るための準備だったのです。

(おしまい)